弁護士への大量懲戒請求 横浜地裁、請求者に賠償命令 違法性認め1人当たり10万~30万円

横浜地裁

 人種差別を扇動するブログの呼び掛けで大量の懲戒請求を受け、名誉や人格権を侵害されたとして、神奈川県弁護士会の弁護士2人が懲戒請求者712人に計約3億6700万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(高取真理子裁判長)は25日、懲戒請求の違法性を認め、1人当たり10~30万円を両弁護士に支払うよう命じる判決を言い渡した。2人に対して懲戒請求者が先に起こした訴訟への反訴で、懲戒請求者側の訴えは棄却された。

 神原元弁護士と在日コリアンの女性弁護士が2019年3月に反訴し、1人当たり11~55万円の支払いを求めていた。

 判決によると、川崎市で計画されたヘイトデモの差し止めを求める仮処分を巡り、両弁護士らが虚偽の申告を行ったなどとする懲戒請求の内容について、「事実とは認められない」と指摘。「制度の趣旨に照らし相当性を欠く」などとして違法な懲戒請求と認めた。その上で「見ず知らずの者から悪意を向けられ、攻撃対象とされた精神的損害」が認められると判断した。

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