香川県知事選挙の投票に行くときに知っておきたい! これからの香川県に関する5つの数字

香川県知事選挙は8月28日に投開票日を迎えます。

新型コロナウイルス感染症への対策などを通じて、県政に興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。これからの香川県政を考えるきっかけとなるべく、5つの数字で香川県を取り巻く状況を紹介します。

「93.5万人」→香川県の人口は2000年代に9%減少

県の統計によると香川県の人口は93.5万人(2022年6月)です。県の人口は1999年に約103万人を記録して以来、減少を続けています。

また、少子高齢化も進んでいます。

県民の内、65歳以上の方の割合は2000年に21.0%でしたが、2020年には31.9%まで上昇しています。一方で14歳以下の子どもが占める割合は2000年に14.5%であったものが2020年には12.3%に減少しています。

-1,735人→年間出生数は2010年代に20.7%減少

県民の年齢構成の変化による影響は様々な形で表れています。

例えば出生数です。その年における各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計した合計特殊出生率は近年改善傾向にありました。厚生労働省「人口動態統計(確定数)の概況」によれば、2019年の合計特殊出生率は1.59であり、2009年1.48よりも高くなっています。けれども、出生数は2009年8,366人から2019年6,631人と減少しています。このことの背景にあるのが、出産適齢期の女性の減少です。

年齢別の転出、転入の状況をみると、香川県では10代後半~20代前半の転出超過が目立っており、近年は当該世代だけで毎年1,300人超の転出超過となっています。

進学や就職等で県外に転出した若い世代の多くは県内に戻ってきておらず、出産適齢期の女性が減少した結果、出生率が上昇したものの出生数が減少するといった状況につながっています。

なお、新型コロナウイルス感染症の国内での感染拡大が始まった2020年には合計特殊出生率は1.47、出生数は6,179人まで低下しています。

「1,259人」→2025年に不足が見込まれている介護人員数

県内での65歳以上の方の増加は、数年後にはより社会的な支援が必要となる方の割合が増す75歳以上人口の増加につながっていきます。

2021年には75歳以上の方は県民の16.6%ほどですが、2025年20.0%、2030年21.4%と3年後には県民の5人に1人が75歳以上となることが見込まれています。

そのような中で懸念されるのが介護環境です。

厚生労働省の調査(第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)によると、2019年度に香川県内には1.8万人の介護職員の方がいましたが、2025年には2.0万人の需要が見込まれています。今後も介護職員の増員は進められていく見込みですが、2025年に見込まれている職員数は1.8万人と1,200人超の不足が予想されています。

今後も高齢世代の方が増えていくことが見込まれていることもあり、2040年度に見込まれている県内の介護人材の不足数は約4千人と試算されています。

また、ひとり暮らしをする高齢者の割合も増加しています。「第8期香川県高齢者プラン」によれば、県内総世帯の内、高齢者単身世帯の割合は2015年13.1%であったものが、2020年には14.6%に上昇しており、2030年には16.2%となることが推計されています。

施設だけではなく、地域の中でもお年を召された方も安心して暮らしていくことのできる環境を作っていくための取り組みの重要性が高まっています。

1.51倍→有効求人倍率は前年同月よりも改善

「香川県の雇用情勢について(令和4年6月分)」によれば香川県内の有効求人倍率は1.51倍(2022年6月)と前年同月から0.16ポイントほど改善しています。また、有効求人倍率の年度平均1.42倍(2021年)は前年度(2020年度)に比べて0.09ポイントの改善となっています。

2018年度の年度平均が1.72倍であったことを踏まえるとコロナ禍前の状況とはまだ差のある状況ですが、一番苦しい状況からは回復しつつあることがわかります。

少子高齢化の進行に加えて、改正入管法に代表されるように、今後も様々な分野で働き手不足が生じることが見込まれます。香川県内で就業する外国人労働者の方は2016年0.67万人であったものが2020年には1.0万人、1.5倍の規模まで増加しています。国勢調査(令和2年)による香川県内の就業者数は47.8万人ですので、外国人労働者の割合は県内労働者の2%を超える規模になっています。

19人→保育所待機児童数は減少も放課後児童クラブ(学童保育)では増加

香川県では「持続可能な香川県」となるために、2060年に約77万人の人口を維持することを目指しています(第2期かがわ創生総合戦略)人口減少に挑む取組みの1つとして掲げられている目標の1つが2024年度に保育所等利用待機児童を年度当初及び年度途中に0人とすることです。

保育所待機児童数(4月1日時点)は2016年に324人報告されていましたが、2022年には19人となっています。年度途中(10月1日時点)の待機児童も同様に減少しており、2016年519人が2021年166人となっています。なお、この間、保育士数は1千人超の増員が行われ5,083人(2022年)となっています。

また、「小1の壁」と言われることのある放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童は41人(2021年)でしたが、2019年が9人であったように近年増加傾向にあります。

近年、香川県内の25歳から44歳までの女性の有業率は74.3%(2012年)から77.9%(2017年)と上昇しています。けれども、20代後半の女性の有業率(78.9%)が、30代前半72.4%と出産・子育て期を迎える人が増える時期に低下する傾向も続いています。

働く女性の増加が保育需要の増加につながっているものと推察されるなか、出産・子育てに直面した人々が仕事、キャリアをあきらめることなく、県内で活躍をしていくためにはどのような取組みが求められるでしょうか。

全国各地で進む少子高齢化によって、今後も様々な分野で働き手不足が生じることが見込まれます。地域間で人材の争奪戦ともいえる状況になる可能性がありますが、その時に影響を受け、他の地域への移動を選択しやすいのは、地域とのつながりの薄い若い世代の方です。

人手不足の発生している介護人材を取り上げると、介護労働安定センターによる「事業者における介護労働実態調査」では、香川県内の介護労働者の平均賃金は24.1万円/月であるのに対して、近畿地方25.4万円/月、特に大阪府は25.7万円/月と賃金差が生じていることが明らかになっています。

香川県では、雇用環境の改善が進む一方で、若い世代の県外流出という問題も継続しています。

コロナ禍にありながらも、これまで続いてきた若い世代の県外への流出を止め、地域の活力を作り出していくために、どのような取組み、県の未来が選択されることになるのかが注目されます。

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