医療逼迫の長崎 懇親会の学生が救急搬送 大学、独自行動制限に苦慮

 新型コロナの感染拡大で医療や救急業務が逼迫(ひっぱく)する中、今月10日に長崎市内の大学のゼミの懇親会で学生が救急搬送された。学生と担当教員計10人が屋外で飲酒を伴うバーベキューを楽しんでおり、飲酒や熱中症が原因とみられる。国や県の行動制限がない中で大学側も独自の制限には慎重にならざるを得ず、対応に苦慮している。
 この大学によると、10日午後3時ごろから長崎市近郊でバーベキューをしていたところ、ビールや酎ハイを飲んでいた20代の女子学生が立ち上がることができない状態になった。同6時過ぎに担当教員が救急車を要請。市内の病院で手当てを受け、事なきを得た。もう1人、具合が悪くなった学生がいたが、教員が自宅まで送り届けた。
 大学側の調査では、懇親会の終盤、教員が片付けのために席を外した際、学生たちが余ったアルコール類を急いで飲んだことが原因の一つとして考えられる。また、この日の長崎の最高気温は33.4度。救急搬送された学生は「焼く」担当をしており、熱中症の症状もみられた。
 この大学ではコロナ対策としてクラブ・サークル活動について「大人数や長時間の会食の自粛」を呼びかけていたが、ゼミの懇親会は特に制限をしていなかった。担当教員は屋外で感染対策を講じ、会の前に「節度ある飲み方を」と指導してもいたという。
 大学としては「問題はなかった」との見解を示す一方、「結果的に医療機関などに迷惑をかけ、反省すべき」としている。24日、学内の懲戒委員会を開き、担当教員から事情を聴いた上で処分した。ゼミの懇親会の在り方については今後検討する。
 一方、長崎大は新型コロナの流行「第7波」を受け、7月26日以降、ゼミやサークルを問わず会食は「発熱や風邪の症状がない普段一緒にいる人で4人以内」と制限。「学生本人の命を守るためだけではなく、地域医療の崩壊を防ぐことで地域全体の命を守るという観点から独自の行動制限は必要」とする。
 市内の別の大学関係者は「国や県の制限がない中、教職員には自覚に基づき会食について対応してもらっている。学生には自粛を求めるしかない」と対応の難しさを語った。


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