中学生たちの言葉

 松浦市立志佐中の二村佳蓮さんは毎朝、通学路で3人連れの外国人女性と擦れ違う。最初の日、迷いながら「おはようございます」と声をかけると「オハヨ」と片言のあいさつを返してくれた。どこの国の言葉で…なんて後回しでもよかったんだ、あいさつの本質は相手の存在を受け入れようとする心だから▲北諫早中の秋山美優さんは「2万人に1人」の難病を抱えながらも果敢な挑戦を続ける兄の姿に日々刺激を受けている。彼の行動理念は「できるかできないか、ではなく、やるかやらないか」だ▲平戸市立中部中の松山大希さんの夢は地元で米を作ること。秋の稲穂を思いながら草を刈る。「収穫を無事に迎え、家族で食べる新米のおいしさ」を力説しながら世界の飢餓にも思いを▲給食の時間が苦手だった佐世保市立山澄中の神浦なつさんは3年間の海外生活で日本の食の豊かさに目覚めた。コロナで「黙食」の今は会話が食卓に与える彩りが恋しい▲大村市立玖島中の赤川明信さんの家は多彩な作物を手がける兼業農家。植物の生命力を生き生きと語り「自分にとってはペットや“推し”のような存在」とその魅力を▲最後に紹介した3人は発表の順番が隣り合っていた。審査をしながらおなかが鳴った。先日開かれた中学生の「少年の主張」大会から。(智)

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