3年生、夏物語2022 vol.7 バレーボール女子 岐路に立つ東九州龍谷、問われる3年力

バレーボール少年女子の国体九州ブロック大会の代表決定戦で、福岡県選抜に敗れた東九州龍谷(東龍)。九州ブロック敗退は2006年以来となる。全国高校総体(インターハイ)後に体調不良者が出て、2週間弱の長期休養を強いられた。わずか1週間で大会に臨む強行スケジュールとなり、相原昇監督は「弱い部分が出た。インターハイ(で敗れた八王子実践戦)のように、先にセットを取り、逃げ切りたい思いが出てしまった」と肩を落とした。

3年生はコロナ禍の中で入学し、九州大会や全国大会の経験の少ない世代。上級生の試合に出場した選手も少なく、セッターの佐村美怜(3年)は「勝ちたい思いが強すぎて、気持ちがコントロールできないときがある」と大会前に語っていた。

佐村が先発メンバーとして常時試合に出るようになったのは、今年2月の県高校新人大会から。それまで紅白戦でさえコートに立つことは少なく、ラインズマンとして先輩たちをサポートしていた。全国高校総体の敗戦後には全試合の動画を見て、自分が上げたトスのデータをノートに書き出し、距離やタイミングなど自分の選択の正誤を確かめ、国体九州ブロック大会に備えた。

日本一を目指すためには3年生の力が必要となる

1年生の頃から試合に出ていた加藤明(3年)であっても、ブロックを強化したいときにピンチブロッカーとしてワンポイントで交代する控えだった。「1、2年生の頃は与えられた役割を果たすだけで精一杯だった。目標は日本一だったが、ようやく、そこにたどり着くまでの厳しさや難しさが分かるようになった」と明かす。これまで無縁だったプレッシャーを感じるようになった。

国体九州ブロック大会は、グループ戦の宮崎戦と代表決定戦の福岡戦でいずれも1セットを先制し、2セット目も先にセットポイントに届きそうになりながら、「勝ち急ぐ」悪癖が出た。相原監督が「勝ち切るところで仕留められなかった」と悔やむように、泣き崩れた選手も同じ思いだ。「誰がリーダーシップを取り、強い気持ちを示すのか。それはチームの中心となる3年生次第」と相原監督。

3年生にとって高校日本一になるチャンスは春の高校バレーの1回のみとなった。負けた後の東龍は強い。2006年の九州ブロック敗退の翌年に春の高校バレーと国体で準優勝、その2年後の2009年には高校3冠を達成して黄金期をつくった。不死鳥のごとく復活するのか、盛者必衰の道をたどるのか。3年生は岐路に立っている。

「これまで以上にプレッシャーを感じる」と話す加藤明

(柚野真也)

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