膵臓を喰らう餓鬼 黄泉と常世の関所を司る美女 現代によみがえる地獄巡り幻想奇譚 「餓鬼が笑う」公開

「第44回モスクワ国際映画祭」のアウト・オブ・コンペティション部門に正式出品された平波亘監督作「餓鬼が笑う」が、12月24日より劇場公開されることが決まった。

「餓鬼が笑う」は、骨董屋を目指し、四畳半のアパートに住みながら路上で古物を売って暮らす大貫大を主人公とした幻想的な作品。先輩商人の国男に誘われ、山奥で開催されている骨董の競り市場に参加した帰り道、いつしかこの世の境目を抜け、黄泉の国に迷い込んでしまった大。人の膵臓(すいぞう)を笑いながら喰らう異形の餓鬼、絶世の美貌で黄泉と常世の関所を司る如意輪(にょいりん)の女。あの世とこの世を行きつ戻りつしながら、大はやがて自身の人生を生き直し始める。

骨董屋志望の青年〈大〉を演じたのは田中俊介。大の運命の女性・佳奈を山谷花純が演じている。加えて世界的なダンサー、田中泯が特別出演。ほかに、萩原聖人、片岡礼子、川瀬陽太、柳英里紗らが顔をそろえている。原案に色濃い荒戸源次郎、寺山修司などの70年代ATG作品を思わせる世界観を踏襲しつつ、記憶をめぐるラブストーリーの要素を導入し、今に生きる若者のリアリティを取り入れた映画になっているという。

ティザービジュアルは、田中泯演じる画家・高島野十郎が劇中で描いた漆黒の人物画に、田中俊介演じる大の姿がうっすらと浮かびあがるデザインとなっている。特報では、大がこの世とあの世の境目で見る赤い月が冒頭に映し出され、山谷花純演じる佳奈、萩原聖人演じる先輩商人の国男、片岡礼子演じる下宿先の大家のマダム、田中泯演じる高島野十郎、川上なな実演じる如意輪の姿などが見られる。

田中俊介らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■田中俊介
なんだか変な映画が生まれる気がするぞ…そんな匂いがプンプンする。企画書、台本を読ませていただいた時の素直な気持ち。ボーイミーツガールものではある。だけど、ん?骨董屋?餓鬼?如意輪?赤い月?なんだなんだ?この不思議な世界に興味津々になってる自分がいました。撮影では演じた役と同じように異世界に迷い込んだ感覚に陥り、全編撮影を終えても鑑賞後の後味が想像つかない。そんな貴重で奇妙な体験をさせていただきました。

■山谷花純
天使と悪魔は紙一重。
そんな女性 及川佳奈役を演じさせていただきました。
いつかきっと、そう言葉を交わしていた田中俊介さん主演作品のお相手役のご縁が舞い降りて光栄に思います。この作品の終着点は、何処なのか。
私自身、今だによく分かっていません。分からない美学。
それを正当化する力があるのが映画だと思います。
「お客様の方から寄り添ってください」と真正面から提示する勇気ある尖った作品です。是非ご覧ください。

■平波亘(監督)
『餓鬼が笑う』という映画を創りました。

ここで言う「餓鬼」とは、こんな時代に生きながらも常に満たされず、無常の人間関係の森を彷徨い、情報社会の虚偽の海を漂う、私たちのことかもしれません。
そこに込めた想いは、皮肉めいた揶揄だけではなく、この薄闇の時代を生き抜いていくためのタフさだったりズル賢さだったり、どんな逆境に陥っても思わず笑ってしまうような図々しさだったり。そんないろんな願いや想いをごちゃ混ぜにしちゃいました。

こんな映画を一緒に笑いながら創ってくれたスタッフ、キャストに心から感謝しています。是非映画館の闇の中で愉しんでください。

【作品情報】
餓鬼が笑う
2022年12月24日(土)新宿K’s cinemaほかロードショー
配給:ブライトホース・フィルム
©️OOEDO FILMS

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