県が「BA・5」宣言延長決定 検査キット配布対象拡充 オンライン診療も可能に

感染対策の徹底を呼びかける福田知事=30日午後6時20分、県庁

 県は30日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、今月末が期限となっている「BA・5対策強化宣言」を9月末まで延長することを決めた。感染者の全数把握は当面継続する一方、発熱外来の負担軽減のため、有症状者らへの検査キット配布などの対象を9月1日から15~65歳未満まで拡充する。同月上旬をめどに、自宅療養者の健康観察を行う「フォローセンター」に医師を配置し、患者の体調悪化時にオンラインで診療できるようにする。

 人口10万人当たりの新規感染者数は今月4日の966.7人、病床使用率も同21日の64.1%をピークに減少しているが、依然として高水準で推移している。県は医療提供体制への負荷が継続しているとして、宣言延長を決めた。

 会議後の記者会見で福田富一(ふくだとみかず)知事は延長期間を1カ月とした理由を、新学期が始まることや9月中に2度の3連休があるためと説明。宣言延長に伴い、引き続き高齢者や持病のある人に混雑した場所などへの外出自粛を求める。

 政府の全数把握の見直し方針を受け、県は県内10郡市医師会にアンケートを実施。発熱外来の逼迫(ひっぱく)度について「患者が良質かつ適切な医療を受けることが困難になる恐れがある」と回答した医療機関は一部にとどまったため、全数把握は当面継続することとした。

 有症状者らに検査キットを配送する「検査キット配布センター」や、自主検査で陽性だった人がオンラインで申告する「陽性者登録センター」の対象を従来の20~40代から拡充。また、フォローセンターへの医師の配置で、発熱外来の逼迫解消を目指す。

 福田知事は「宣言延長により新規感染者数の減少傾向を確実なものにしたい」と述べ、県民や事業者に協力を求めた。

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