諫干基金の経費 5年連続見送り 農水省 2023年度予算概算要求

 2023年度の予算概算要求で、農林水産省は、諫早湾干拓事業の開門問題を巡り、開門せずに漁業者と和解するため創設する有明海再生に向けた基金の経費を5年連続で見送った。
 同省は基金の経費として18年度の概算要求に100億円を盛り込んだが、その後、開門を求める漁業者との和解協議に進展が見られず、予算化に至っていない。ただ、基金で解決を目指す政府方針は変わりないとし、同省は予算措置について「タイミングや状況を踏まえて必要な対応を検討する」としている。
 開門確定判決に基づく強制執行排除を国が求めた請求異議訴訟の差し戻し審では、福岡高裁が3月、国の主張を認めて「非開門」の判断を下し、漁業者側が上告している。
 有明海特措法に基づく再生対策の関連事業は、前年と同規模の約18億円を盛り込んだ。有明海の資源回復に向けた調査や、沿岸4県が協調したタイラギなどの人工種苗の量産化などに取り組む。

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