長崎県が「全数把握」見直し、高齢者らに限定 「陽性者判断センター」設置

診療・検査までの流れ(2日~)

 長崎県の大石賢吾知事は1日の臨時記者会見で、医療機関が保健所に新型コロナウイルス感染者の個人情報などを全員分届け出る「全数把握」を見直し、届け出対象を65歳以上の高齢者ら重症化リスクが高い人に限定すると発表した。早ければ来週にも新たな運用を開始し、保健所のある長崎、佐世保両市も県と足並みをそろえる。今後、国が全国一律で対応を見直した場合、再度変更する可能性がある。
 国は先月、業務が逼迫(ひっぱく)する医療機関や保健所の負担軽減のため、都道府県判断で発生届け出を重症化リスクが高い人に限定できるよう通知。知事は「外来医療が逼迫し軽症者がほとんどを占める中、重症化リスクのある人に医療を重点化し、県民の命と健康を守る」と述べた。県は2日、国に申請する。
 届け出の必要がない人向けに2日、新たに「陽性者判断センター」を設置。重症化リスクが低く、検査キットによる自主検査で陽性となった人は受診することなく、検査結果や個人情報を同センターにウェブ上で連絡。症状悪化時の相談などに応じる健康観察センターが案内される。検査キットは2日からウェブ上で「長崎県抗原検査キット配布センター」に申し込むことができ、2日以内に自宅に配送される。無料。
 医療機関の検査で陽性となった重症化リスクが低い人にも医療機関が健康観察センターを案内し、年代と人数を保健所に報告する。
 県などは毎日公表している新規感染者について全体数は従来通り公表するが、市町別の感染者数は発生届け出があった重症化リスクの高い人に限定するという。
 県医師会の森崎正幸会長は「全数把握の見直しで医療機関の負担は軽減するので歓迎したい。県には健康観察センターについてしっかり県民に周知し、急変などへの不安解消に努めてほしい」と話した。


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