アルカスSASEBOジュニアオーケストラ結成10年 記念演奏会で観客魅了

結成10年を記念したコンサートで華麗な音色を響かせる団員ら=佐世保市三浦町、アルカスSASEBO

 長崎県北地区を中心に活動する「アルカスSASEBOジュニアオーケストラ」は今年で結成から10年。OB・OGは200人を超え、音大への進学や、海自音楽隊に入隊した卒業生も輩出している。新型コロナウイルス感染拡大により2カ月以上練習を中断するなど苦難も乗り越えてきた。8月28日に佐世保市内で10周年記念演奏会を開催。団員ら約110人が華麗な音色を響かせると、観客は鳴りやまぬ拍手を送った。

■ 音楽家が指導

 同オーケストラは、市が1988年から2011年まで主催した「市児童管弦楽団」が前身。12年からアルカスSASEBOを拠点に活動するジュニアオーケストラとして活動が始まった。現在は市内外の小学3年~高校、高専生の約80人が所属している。指導するのは大村市を拠点に活動するプロの室内オーケストラ「長崎OMURA室内合奏団」など、県内外の音楽家らが脇を固める。
 記念演奏会ではベートーベンの「運命」や、西海国立公園指定50周年を記念した「九十九詩人」など9曲を披露。力強くも華やかな音色で観客を魅了した。

■ 「一生の宝物」

 バイオリンパートで団員代表の坂口楓さん(17)=聖和女子学院高2年=は小学4年生のときに入団した。「仲間と寄り添って練習するのが当たり前」だったはずが、コロナ禍で状況は一変した。
 20年の定期演奏会は中止。今年2月の定期演奏会も開催できなかった。団員が集まれない時期もあり、練習が再開されても団員同士、距離を取らなければならなくなった。それでも努力を重ね、演奏会後は「音楽の素晴らしさを音色に込めて伝えられた」と充実した表情。結成10年を迎え「ここでしかできない経験と出会った仲間は一生の宝物。これからも音楽を続けたい」とほほ笑んだ。
 孫を見るために訪れた庵浦町の主婦、髙原善江さん(77)は「曲ごとに想像が膨らむ。がんばって演奏していると伝わってくる」と感慨深げに話した。


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