台風11号 長崎県に最接近 北部、離島で避難指示 暴風雨警戒

台風接近に備え避難した住民=5日午後3時、五島市富江町

 大型で強い台風11号は5日、東シナ海を北上し、長崎県内全域が強風域に入った。6日未明から明け方にかけて勢力を維持したまま本県に最接近し、北部、五島、壱岐・対馬が暴風域に入る見込み。九州北部では6日午前にかけて線状降水帯が発生する可能性があり、長崎地方気象台は高波や土砂災害、河川の増水・氾濫などに厳重な警戒を呼びかけている。
 気象台によると、6日午後6時までに予想される県内の24時間雨量は200~250ミリ、1時間雨量は離島部80ミリ、南部と北部70ミリ。最大風速は陸上で23~35メートル、海上で25~40メートル。
 5日午後6時時点で平戸、松浦、対馬、五島、小値賀、新上五島の4市2町が全域に避難指示を、長崎市なども高齢者等避難を出した。県内で計409カ所の避難所が開設され、計2326人が避難した。
 五島市では39カ所に計597人が身を寄せた(同日午後7時現在)。午前中から富江地域福祉センターを訪れた近くの女性(86)は「1人暮らしなので心細く、2日前から避難の準備をしていた。早めに来て安心した」と話した。
 同市中心部の商店はシャッターを下ろし土のうで固定。ベニヤ板や養生テープで窓を補強する民家なども見られた。対馬市の漁港では各地から集まった漁船がロープで係留された。
 対馬南署によると、5日午前10時20分ごろ、同市厳原町豆酘の漁港で、漁業山下敬三さん(82)が海面に浮いているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。同署は、ロープで漁船を港に固定しようとして溺れたとみている。
 九州電力によると、5日午後9時現在、五島市富江町など約1310戸で停電が発生した。
 6日、県内すべての公立小中学校が臨時休校。長崎大学病院は、救急を除き同日午前の外来診療を休診する。JR九州、長崎電気軌道、島原鉄道、松浦鉄道、県営バス、長崎バスなど交通各社も始発から運転を見合わせる。空や海の便も大きく乱れる見通し。
 台風は5日午後6時現在、五島市の西南西約290キロを時速約30キロで北北東へ進んだ。中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、最大瞬間風速は60メートル。中心の東側220キロ以内と西側165キロ以内は風速25メートル以上の暴風域。


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