「家族らから」高齢者虐待178件 長崎県内「息子」最も多く コロナ禍影響か

 長崎県は5日、県内の高齢者に対する昨年度の虐待件数(速報値)を発表。家族らによる虐待件数は178件(前年度比44件増)、施設従事者らによる虐待件数は7件(同2件増)だった。
 県高齢者虐待防止・身体拘束ゼロ作戦推進会議(委員長・木下裕久長崎大保健センター准教授)で明らかにした。
 家族らによる虐待の内訳(複数回答)は▽身体的虐待127人▽心理的虐待91人▽介護・世話の放棄、放任38人-など。虐待したのは息子が82人と最も多く、夫51人、娘27人と続いた。
 施設従事者らによる虐待の内訳(同)は身体的虐待が5人で最多。虐待したのは経営者や管理職など施設の運営に携わる人の割合が高かった。いずれも虐待を受けたのは女性が8割超。
 コロナ禍では、介護の利用控えや外出自粛などにより、家族らが高齢者と一緒にいる時間が増え、介護疲れやストレスで虐待が増えることが想定される。施設での虐待については、面会制限により、家族らが虐待に気付きにくくなったことが懸念されている。
 県長寿社会課は「(虐待の増加は)新型コロナの影響が想定される。介護など生活で困ったことがある場合や周囲に困っていそうな人がいる場合は、地域包括支援センターに相談してほしい」としている。


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