国葬全体費用公表 前日に菅氏が助言「批判されるなら動くべき」 岸田首相ようやく「聞く力」 

 安倍晋三元首相の国葬を巡り政府は6日、全体の費用概算を公表した。岸田文雄首相は「国葬終了後にしか明らかにできない」としていたが、方針を転換。周辺は「前日(5日)の菅義偉前首相(衆院神奈川2区)の助言が奏功したようだ」としている。首相のアピールしてきた「聞く力」がようやく形になった格好だ。 
 
 岸田首相は8日にも行われる国葬の国会閉会中審査への出席を表明している。一方で答弁書の準備への具体的な指示は出さず、関係省庁には「審査では従来見解の繰り返しになって火だるまになるのでは」などと懸念が広がっていた。

 そんな中で岸田首相は5日、菅前首相の国会内事務所を訪ねた。自民党幹部によると「麻生太郎副総裁が『安倍元総理亡き後に頼れるのは前総理だ』と岸田首相に促した」という。

 関係者の話を総合すると、菅氏は「分かる範囲で数字をまとめて早めに明らかにしてはどうか」と助言。「最終結果とくい違いが生じるかもしれない」との首相の不安に対し、「動いても動かずとも批判されるのなら動くべきだ」「実際(の金額)は(事前積算より)減るかもしれない」と返して励ましたとされる。

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