大型で強い台風11号は9月6日午後、日本海を北寄りに進んだ。福井県内は昼過ぎに風のピークとなり、敦賀市で最大瞬間風速29.7メートル(最大風速20.8メートル)、坂井市三国で最大瞬間風速29.3メートル(同20.4メートル)の非常に強い風を観測。県内のナシ園では落果被害が相次いだ。
嶺南地域唯一のナシ産地、若狭町岩屋では特産の「岩屋梨」が収穫期を迎えていた。JA福井県三方五湖支店によると、生産者17人の農園計5ヘクタール余りで、今年は昨年比5割増の55トンの収穫を見込んでいたが、主力品種の「豊水」「二十世紀」の約3割が落果した。
6日から本格的に収穫予定だった73歳の男性は、例年6トンほど出荷するうち、約1トンが落果。落ちた実は割れて出荷できないといい、「丹精込めて作っただけに残念。子どもたちが袋掛けしてくれたものも落ちてしまい申し訳ない」と肩を落とした。
あわら市内のナシ農家でつくるあわら梨部会の上野広和会長の農園では、「豊水」や「あきづき」が300~400キロほど落果した。豊水は5日に出荷を始めたばかりで、「まだ熟していない実が収穫目前に落ちてしまった」と無念さをにじませた。