紫芋でスイートポテト、耕作放棄地を一大生産地に 福井県あわら市の「馬面昭栄堂」が新商品

商品開発中の紫芋を使ったスイートポテト
2021年10月に行われた紫芋「ふくむらさき」の収穫会=福井県あわら市山十楽

 福井県あわら市春宮2丁目の菓子店「馬面昭栄堂」が、市内の耕作放棄地を活用して栽培した紫芋を使った商品開発に取り組んでいる。特産のサツマイモ「富津金時」とともに、紫芋の一大生産地を目指す。福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」で9月20日まで資金を募っている。

 同社社長の馬面佳和さん(51)が、菓子の材料を確保する中で、農家の担い手不足や収益化までのハードルが高いため耕作放棄地が増えていく現状を目の当たりにし、放棄地の復活と新たな菓子作りを企画した。

 同社の看板商品は、富津金時を使ったスイートポテト。パイ生地の紫芋スイートポテトを新商品として売り出し、あわらの土産物の新定番を作りたいとしている。

 紫芋は、サツマイモなどと比べて身近で見る機会が少ないことから目を付けた。地元農家に協力してもらい、同市山十楽の約1ヘクタールで、品種「ふくむらさき」を生産。ねっとりとしていて糖度が高いのが特徴で、甘さで有名なサツマイモ「紅はるか」と同じくらいの糖度という。

 2020年から試験的に栽培を始め、21年は苗千本を植え約3トンを収穫。市内の子どもたちと保護者約60人を招き収穫会も催した。22年も同じ規模で栽培をしており、10月中旬~下旬にかけて収穫する。

 新商品の発売は年明けが目標。馬面さんは「放棄地で新しい農作物を育てることで、農業によるIターンが見込める」と期待。「あわら○○といったお菓子がない。あわらを代表する名産品として、観光消費拡大につなげていければ」と話している。

 CFの目標額は100万円。新商品の試作やパッケージ費用、広告宣伝費などとして扱う。3千~3万円のコースがあり、返礼は紫芋1~4キロや紫芋のスイートポテト。

 【ミラカナ】福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でさまざまなプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして2018年に福井新聞社、福井銀行、レディーフォーが連携して始まった。21年からは福邦銀行も事業に参画した。累計支援額は1億5千万円、プロジェクトの達成率は94%(22年7月末時点)。

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