【真鶴町の選挙人名簿不正接写】土屋湯河原町議に辞職勧告決議 町議会「信頼を失墜」

真鶴町の選挙人名簿を不正に接写し第三者に提供したとして湯河原町議会から議員辞職勧告決議を受けた土屋氏

 神奈川県真鶴町の選挙人名簿不正使用問題を巡り、土屋由希子・湯河原町議が真鶴町の選挙人名簿を不正に撮影し第三者に提供するなどしたとして、湯河原町議会は12日の本会議で「町議会の品位をおとしめ、信頼を著しく失墜させた」として土屋氏に対する議員辞職勧告決議を全会一致で可決した。一方で土屋氏は「議員を続けることが自分の責任の取り方」として続投の意向を改めて表明した。

 関係者らによると、土屋氏は昨年9月の真鶴町議選で新人候補(今月9日に議員辞職)の陣営に加わり、有権者に配る選挙はがきに利用するため名簿の閲覧を申請。名簿の写しは公選法や町要綱で手書きしか認められていないが、土屋氏は議員用に貸与されたタブレット端末で約800人分の名簿を撮影し、その画像データを陣営内の別の関係者に送信した。

 問題発覚後、湯河原町議会は聞き取り調査などを行い、山本俊明議長が土屋氏に文書で注意。さらに12日の本会議で「議員としての資質すら疑わざるを得ない」として議長を除く議員11人全員の連名による辞職勧告決議案を提出。町議からは「公正な選挙を汚された」「町議会基本条例に反する人が議員にあり続けてはいけない」と厳しい声が相次いだ。

 土屋氏は取材に、「自分の行動はあくまで手続き上の違反にすぎず、個人情報の流出に当たるとは思っていない」と反論。昨年12月の真鶴の出直し町長選では、同様に選挙人名簿を持ち出した松本一彦氏を支援したが「今後は真鶴で選挙に関わる政治活動はしない」と述べた。

© 株式会社神奈川新聞社