市貝町と県水連、認識食い違い とちぎ国体競技中止 町側「対策したが防げず」

アオコが発生し、緑色に濁った競技会場。ボートによるブイの撤収作業が行われた=9日午後、市貝町塩田

 10日に栃木県市貝町で開催予定だった「いちご一会とちぎ国体」会期前競技のオープンウオータースイミング(OWS)が会場の水質悪化で中止になったことを受け入野正明(いりのまさあき)町長ら町側は12日、町議会全員協議会で経緯と町の対応を説明した。対策したがアオコの繁茂を防ぎきれなかったとする一方、危機管理に対する町側と県水泳連盟側の認識には食い違いも出ている。

 入野町長は塩田調整池特設会場の水質悪化について「(農業用水として使われて)水位が下がり、荒川からの取水を8月31日から増やして水を3分の2ほど入れ替えたが、晴天が続き、アオコが繁茂してしまった」と説明。町によると、7月のリハーサル大会ではアオコ発生はなく、取水により9月8日時点で開催に影響はない程度と考えていたが、9日には「一夜で想像を上回るスピードで発生していた」という。

 議員から「アオコが発生するのは事前に分かっていた」などの声が相次いだ。

 一方、町国体推進室は4月の異動で全員が入れ替わった。推進室は取材に「前任者から、アオコ発生について県の指導があったとの引き継ぎはなかった」とし、県水泳連盟とも「4月以降、池での大会に何が必要かを主に話したが、アオコの話はなかった」とした。

 県水泳連盟の直井浩(なおいひろし)OWS委員長(60)は「会場の決定後、町も含めた関係者で複数回現場を視察し、アオコに警戒していた。『このままでは泳げない』とも町に伝えていた」とする。

 異動にも言及し「一生懸命やってくれていた担当者がなぜか代わり、準備が再スタートになった。町がやるべき業務を連盟がやったこともあった」と不信感をにじませる。「県水連として、町側と危機意識の共有が足りなかったのは事実。全国の選手、監督、競技関係者の方々に本当に申し訳ない」とわびた。

 

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