〈任期満了に伴う11日投開票の東彼波佐見町長選で新人三つどもえの戦いを制し、24年ぶりに新たな町のかじ取り役に就く。抱負などを聞いた〉
-選挙戦を通じて感じたことは。
町をくまなく回って周辺部に空き家が多いことにがくぜんとし、人口減少を目の当たりにした。一朝一夕で解決できないが、地域のなりわいを守っていくためにも、町全体の振興策に取り組まなければ町の繁栄はない。人口減少の中でも、地域の人が考え、取り組んでいる地域づくりをサポートしたい。
-6期24年続く一瀬政太町政で特に継承したいのは。
22年前から、行政の課長級以上と、各自治会の代表者による定例会を毎月開いている。声を拾い上げて共有し、地域課題と向き合う姿勢を続けたい。将来に大きな負担を残さない財政運営の考え方も受け継ぐ。
-変化、進化させることは。
建設が進む新庁舎では自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組み、窓口手続きの簡略化など町民の利便性向上につなげたい。
-公約では子育て支援を柱に据えた。
まちづくりの根幹は人。世の中を支える子育て世代の人たちが住みたくなるまちでないと活気がなくなる。小児科の誘致や給食費の段階的無償化などを盛り込んだ。高齢者や障害者支援、焼き物や農業など産業も人が基盤になる。子育てと併せてしっかり支援する。
-「元気で勢いのある波佐見を止めない」と訴えた。なぜ元気なのか。
まちに懐の深さ、器の広さがあるのではないか。歴史文化は大切にするが、必ずしもこだわらない。来る人を拒まない、お互いを認め合う風土はある。
-まちづくりの方向性をひと言で表すと。
非常に抽象的だが「住む人も来る人もワクワクするまち」。住んでよかったと心が落ち着く、訪れると何か違うぞ、という空気感のあるまちにしたい。
【略歴】まえかわ・よしのり 波佐見町出身。佐世保工業高卒。1977年、同町職員として採用された。福祉、税務、建設、商工振興、企画財政などを経て2021年副町長。座右の銘は「できない理由より、できる方法を考えよ」。かかしが売りの鬼木棚田まつりにも関わる。趣味はウオーキングと石積み。