ロシア侵攻「都市壊し心も破壊」 ウクライナ避難女性 総社中で訴え

総社中生に平和について語るチジェンコさん

 ロシアの侵攻が続くウクライナから総社市に避難しているアロナ・チジェンコさん(33)が15日、総社中(同市秦)で講演した。3年生76人を前に、現地の様子や平和への思いを語った。

 チジェンコさんは勉強中の日本語で語り掛けた。侵攻の始まった2月24日夜、暮らしていた首都・キーウ(キエフ)の上空をミサイルが飛んでいるのに気付いた直後、大きな爆発音が耳に入り自宅の地下に避難したという。「これで終わりかと怖くて動けなかった」と涙を拭い振り返った。

 自身の生い立ちやかつての戦争で両親を失った祖母の話、日本に避難した経緯なども説明。真剣に耳を傾ける生徒に「戦争は都市を壊すだけでなく、友人や家族を引き離し、心を破壊する。早く終わるよう一緒に願って」と訴えた。

 生徒(15)は「ニュースだけでは分からない状況を知り、平和について考える必要性を実感した。自分にできることは何か考えたい」と話した。

 チジェンコさんは8月に同市へ避難。市の会計年度任用職員に採用されており、総社中を皮切りに全市立小中学校(19校)で講演を行う予定。

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