神石高原の中村さん 男性最高齢 入市被爆も愛され、愛し111歳

贈られた花束を手に笑顔を見せる、国内男性で最高齢となった中村さん

 「敬老の日」(今年は19日)を前に、厚生労働省は16日、全国の100歳以上の高齢者が過去最多の9万526人になったと発表した。女性の最高齢は大阪府柏原市の巽フサさんで、1907(明治40)年4月25日生まれの115歳。男性は広島県神石高原町の中村茂さんで、11(明治44)年1月11日生まれの111歳。

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 新たに国内男性の最高齢となった111歳の中村茂さんは神石高原町生まれ。明治から令和まで五つの時代を同町で過ごしてきた。1945(昭和20)年の原爆投下後、がれきの撤去作業のため、広島市に出向き「入市被爆」した。長寿の秘訣(ひけつ)は「たくさんの人に愛され、愛を持って接したこと」と明かす。奈良市の上田幹蔵さんが9日に112歳で亡くなり、中村さんが最高齢となった。

 11(明治44)年1月11日生まれ。若い頃は土木の仕事に従事し、子ども5人を育て、孫10人に恵まれた。退職後は農業を営み、米や葉タバコを栽培した。

 2003年、妻輝代さんを亡くしてから、100歳を超えるまで1人暮らし。長男の妻美咲江さん(83)によると、炊事や洗濯も自身でこなし、畑に桜や紅葉の木を植え、季節ごとに楽しんでいたという。

 コーヒー好きで、いまも毎日1杯は飲む。車いすでの生活だが、食事は介助なしで食べ、和牛と一口まんじゅうがお気に入り。入居する特別養護老人ホーム(同町福永)の職員から花束を贈られると「祝ってもらえて喜ばしい」と笑顔を見せた。

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