遅咲き丹萌乃「力を証明したい」 レディース杯、第二の古里で躍動

第二の古里・岡山での「山陽新聞レディースカップ」に挑む丹萌乃。応援を背に19位に浮上した=東児が丘マリンヒルズGC

 新人プロとして「第二の古里」へ戻ってきた。玉野市で開催中の女子プロゴルフのステップアップツアー「山陽新聞レディースカップ」に参戦している作陽高出の丹萌乃。「支えてくれた人たちにいいプレーを見せることができた」。昨秋7度目の挑戦でプロテストに合格した25歳は17日、持ち前の不屈の闘志で初日の64位から19位へ浮上し、決勝ラウンド進出を決めた。

 最終9番ホール。バーディーパットがカップに吸い込まれると、地元の愛媛県から駆けつけた家族や観客から拍手が湧き起こった。この日は得意のパットが面白いように決まり、68の好スコアをマークした。

 遅咲きのルーキーは苦境ほど力を発揮する。芯の強さが培われたのは「2度と受けたくない」と言うほど苦しんだプロテストだ。高校卒業後、毎年挑んだが阻まれること実に6度。それでも諦めなかった。一番の理由は「もう一度、ツアーで戦いたい」との思いだった。

 トーナメントへのツアー出場権を争う予選会で上位に食い込み、全国を転戦したのは2018、19年。だが、20年に制度が変更され、プロテストの未合格者は予選会へ出場できなくなった上、コロナ禍で実戦機会も激減した。「試合ができることがどれほど恵まれていたかを思い知った」

 プロへの“壁”を突き破るためメンタルトレーニングも導入。母・由香さん(48)は「表情も柔らかくなり、気持ちをコントロールできるようになった。合格の予感があった」。見立て通り昨年11月、ついに宿願を果たした。

 アスリートとしての土台を築いたのは作陽高の3年間だ。「調子は上がっている。思い入れのある岡山で力を証明したい」。決勝ラウンドでもギャラリーを魅了する。

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