真の共生とは

「これまで別々だったのが一つになった。垣根がなくなってきた。感無量です」。先日、長崎市で初めて合同開催された国民体育大会と全国障害者スポーツ大会の結団壮行式。県障害者スポーツ協会の土岐達志会長は穏やかな表情で式典を見守っていた▲スポーツを通じた共生社会の実現を目指した試みで、両大会の選手代表が初めて一緒に決意表明した。「最後まで一生懸命」「諦めずに戦い抜く」。代表の言葉もまた、同じだった▲障スポの選手団が特に喜んだのがユニホーム。「国体代表と同じもので試合に出たい」という要望を県側が快諾した。選手たちからは「チーム長崎の一員になれた」という声が聞こえた▲もちろん、何もかも一緒にやれば、共生社会が進むと言う気はない。障害の程度は一人一人違っており、例えば、言葉を理解できない知的障害児が健常児と同じ授業を受けても、苦痛にしかならないこともある▲ただ、今回のような一緒にできることは、まだまだあるはずだ。互いを理解して、認め合い、知恵を絞れば、おのずとそれは見えてくるだろう▲結団式後、5度目の障スポ出場となる50代の選手が話してくれた。「国体の人と一緒で胸が熱くなった。同じレベルにしてもらった。プレーで恩返ししたい」。真の共生を教わった気がした。(城)

© 株式会社長崎新聞社