迷惑かけたくない 高齢者の意識は 敬老の日、岡山大教授らシンポ

高齢者の意識について研究報告があったオンラインシンポジウム

 敬老の日の19日、岡山大の教授らによる研究チームが、高齢者が抱きがちな「周りに迷惑をかけたくない」という意識のルーツなどを考えるシンポジウムをオンラインで開催した。

 チームの研究者ら6人が報告。東京大の山本栄美子研究員は、認知症の老人と家族の姿を描いた1972年の有吉佐和子さんの小説「恍惚(こうこつ)の人」を紹介。高齢化が進む社会への問題提起という著者の意図に反して、世間には「認知症になりたくない」といった逆のイメージが広がり「70年代以降、迷惑をかけたくないという意識につながったのでは」と指摘した。

 岡山大の吉葉恭行教授と東北福祉大の工藤洋子講師は、医療・介護関係の文献を幅広く分析し、最近になって在宅医療が普及したことにより、「家族に迷惑をかけたくない」と考える人がさらに増えたとみられると指摘した。

 2020年度から5カ年計画の研究の中間報告として実施。ビデオ会議システムを通じて約90人が聴いた。

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