メディアのキャラ誇張「裸の大将」で葛藤…天才画家・山下清の甥が明かした逸話 福井で生誕100年記念展

講演会で生前の山下清を振り返る甥の山下浩さん=9月18日、福井県の福井市美術館

 “放浪の天才画家”山下清(1922~71年)の生誕100年を記念した「山下清展 百年目の大回想」(福井市美術館、福井新聞社、福井テレビでつくる実行委員会主催、福井信用金庫特別協賛)の関連イベントとして、生前の清を知る甥で山下清作品管理事務所代表の山下浩さん(61)=東京都=の講演会が9月18日、福井県の福井市美術館で開かれた。

 晩年の清は弟一家と同居していた。浩さんは11歳のときに清が49歳で亡くなるまで一緒に暮らした。

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 清に教わって夏休みの宿題の貼り絵を作った逸話を紹介。「伯父にとって色選びは重要だった。私が水色の色紙で空を表現すると『なぜ、その色?』と聞かれた。(高度成長期の)東京の空は灰色でしたから」。既成概念で色を選んだ甥への清なりの問題提起だったと推し量った。

 メディアによってキャラクターが誇張され、「裸の大将」のイメージが独り歩きしたことに清は悩んでいたという。「伯父は『世の中は半分が本当なら、いいことになっている』と言っていた。画家として有名になるには仕方がないとの思いもあり、葛藤を抱えていた」と振り返った。

 山下清展は11月6日まで(休館日あり)。9月24日、10月1、9、16日の午後2時から学芸員のギャラリートークがある。

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