噂どおりトヨタの“ル・マン優勝エンジニア”が移籍。ユナイテッド・オートスポーツの技術トップに即時採用

 WEC世界耐久選手権などに参戦するユナイテッド・オートスポーツは9月20日、これまでトヨタGAZOO RacingのWECチームでレースエンジニアを務めていたヤコブ・アンドレアセンを同チームのテクニカルディレクターとして即時採用すると発表した。

 2020年にドイツ・ケルンを拠点とするTGR-E(トヨタGAZOO Racingヨーロッパ)に加わり、今季はル・マンで優勝したトヨタ8号車のレースエンジニアを務めていたアンドレアセンは以前、F1のウイリアムズ、フォース・インディア、マクラーレンでもエンジニアを歴任。また、ドラゴン・レーシングでフォーミュラEのプログラムにも参画していた。

 アンドレアセンはユナイテッドを退職した元フェラーリF1エンジニアのデイブ・グリーンウッドの後任として、今週末のELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズおよびミシュラン・ル・マン・カップのスパ戦から、LMP2とLMP3車両で参戦する同チームに加わるという。

WECに2台体制でフル参戦するユナイテッド・オートスポーツ。これから迎えるLMDh時代には、トップカテゴリー参戦を視野に入れている

「個人的にも、またプロフェッショナルとしても、ユナイテッド・オートスポーツに加わることができてとてもうれしい」とアンドレアセンは語っている。

「ル・マンは最高のモーターレースであり、スポーツカー耐久レースは現在も、そして将来においても素晴らしい局面を迎えている」

「チームと共に働き、目標を達成することを楽しみにしている。ユナイテッド・オートスポーツは素晴らしいチームを作り上げ、これからのチャンスをつかむための体制が整っており、私もその一員になれることをとても楽しみにしている」

トヨタGAZOO Racingで8号車のレースエンジニアを務めていたヤコブ・アンドレアセン

 ユナイテッド・オートスポーツは現在、WECで2台のオレカ07・ギブソンを走らせており、2019/20シーズンには、LMP2クラスのタイトルも獲得している。アンドレアセンのユナイテッドとの契約は、今年6月のル・マンで最初に報じられたもので、同チームがプロトタイプレースのトップレベル(LMH/LMDh)におけるプログラムの確保を目指している時期に行われたものである。

 ル・マンの段階ではトヨタのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンも、ユナイテッドのチーム代表兼共同オーナーであるリチャード・ディーンも、この件についてのコメントを拒否していた。

 今回のアンドレアセンの正式加入発表に際し、ディーンは「ヤコブが我々のチームに参加することを嬉しく思っている」と述べている。

「我々は常に向上心を持ち、優秀な人材に参加してもらいたいと考えている」

「ヤコブは我々のチームに豊富な経験と知識をもたらしてくれる。質の高い人材を我々の会社に招き続けることで、我々はタイトルに挑戦し続けることができるものと確信している」

2013年、F1世界選手権のフォース・インディアでチーフエンジニアを務めたヤコブ・アンドレアセン(左)

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