海の変化対応 地魚の食文化継承を 岡山でSDGs連続シンポ第3回

瀬戸内海で取れるさまざまな魚をアピールするシンポジウムの参加者ら

 持続可能で活力ある地域づくりを考える連続シンポジウム「SDGs地域課題を探る」(山陽新聞社主催)の今年第3回が23日、「豊かな海 守るため」をテーマに、山陽新聞社さん太ホール(岡山市北区柳町)で開かれた。海の環境変化への対応や、地魚を食べる文化を継承することの大切さを確認した。

 田中丈裕・NPO法人里海づくり研究会議事務局長、岡山水産物流通促進協議会事務局の中島俊子・長谷井商店取締役、岡山学芸館高2年の林志龍さんの3人がパネリストを務めた。

 田中さんは地球温暖化に伴う水温上昇や、海水の貧栄養化などで日本周辺の海に異変が起き、瀬戸内海でも取れる魚の種類や量が変化していると指摘。「地域の海でアマモなど海草を増やすことは適応策として間違いなく有効だ」と呼び掛けた。

 林さんは学校で取り組んでいるアマモ場の再生活動について発表した。アマモ場と干潟のつながりなど先輩たちの研究に続き、苗の成長にはバクテリアや種子の着底姿勢、リン酸濃度が関係していると考えて調べていることを説明。「楽しく進めている研究が社会や地球のためになればうれしい」と話した。

 中島さんは岡山で古くから食べられてきたチヌ(クロダイ)やヒラなど地魚の消費を拡大するため、普及イベントを開き商品開発もしていると報告。その中で里海づくりの必要性を感じ「岡山の豊かな海の保全と魅力ある魚食文化をつなげていきたい」とした。同協議会の森下倫年会長は「瀬戸内海の魚を味わい旬を感じることを楽しんでほしい」と訴え、協力する岡山南高商業クラブの生徒は、クラウドファンディングで資金を募り子ども食堂や学校でヒラ料理を提供したことなどを語った。

 岡山県内のNPOなどのネットワーク組織「SDGsネットワークおかやま」の石原達也会長と、岡山一郎・山陽新聞社論説主幹が進行役を務めた。新型コロナ感染防止のため、会場の定員は絞り、特設サイトでライブ配信した。1カ月程度視聴できる。昨年始まったシンポジウムは今年、新シリーズとして計4回の開催を予定している。

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