◆慶応7─6日大藤沢
関東大会出場が懸かる大事な一戦。慶応の先発を任されたのは1年の小宅だ。「ある程度抑えて、ゲームをつくることができる」と森林貴彦監督(49)の信頼を勝ち得た右腕。だが、この日みせたのは「ある程度」どころではない、信頼を大きく上回る好投だった。
直球と縦のスライダーを中心に、低めへの制球が生命線。ただ、時として高めのストレートで勝負を挑む。強気の見せ球を武器に五回まで散発2安打。「ストレートがシュート気味だったので、修正しながら投げた」。六回に2二塁打で、七回にはスクイズで1点ずつ失ったが、主導権は一切渡すことなくエースの松井に引き継いだ。
準々決勝の東海大相模戦でも、3本塁打を打たれながら七回まで4失点。強力打線の援護のもと、1年生らしからぬ無類の安定感をチームに与えている。
栃木の県央宇都宮ボーイズから、「エンジョイ・ベースボール」にひかれて慶応の門をたたいた。大会前に帽子のつばに書き込んだ言葉は、自身が大切にしているという「必笑」だ。
「関東大会は強いチームばかりだと思うが、低めを意識して、いけるところまで全力で投げたい。今、楽しんで野球をやれている」と小宅。慶応野球の若き申し子は、会心の笑顔で次のステージを見据えた。