<平和安全法制6年・海自の補給任務>日米相互運用「垣根ない」 佐世保が母港「おうみ」洋上で伴走

出動回数が増えている海上自衛隊の補給艦「おうみ」=佐世保市立神町、立神岸壁

 平和安全法制の施行から今年で6年。自衛隊による米軍への補給は訓練時などに限られていたが、同法制により、警戒監視などの任務に当たる米軍艦艇に対しても補給ができるようになった。その任務を担う補給艦の一隻「おうみ」は長崎県の佐世保を母港としている。今月初旬、同艦に乗船し、艦長に補給任務の実情などを聞いた。

艦艇燃料、航空機燃料、真水供給用の補給装置=立神岸壁、補給艦「おうみ」艦内

 「おうみ」は1万3500トン、全長221メートル、幅は27メートル。護衛艦の部隊に随行し、燃料や物資などを洋上で補給するのが任務。右左両舷に備え付けたホースなどを対象の艦艇とつなぎ、伴走しながら補給する。
 吉福俊彦艦長(今月2日当時)は艦内でホースの役割を記者に説明しながら「(補給中は)緊張しますよ」と口にした。補給中は艦艇の動きが制限される。状況によっては「おうみ」と補給を受ける艦艇を別の艦艇が護衛することもある。補給時間は長いときは「数時間」に及ぶという。
 米軍へ洋上で補給した回数については明らかにされていない。元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「回数は増えている。しかし自衛隊の活動に支障をきたさない範囲での補給。本業(自衛隊への補給)がメインだ」と説明する。

インタビューに答える吉福艦長=立神岸壁、補給艦「おうみ」艦内

 補給できる場面が拡大した現状を現場はどう捉えているのか。吉福艦長は、運用の現状について「日米相互運用性は高まってきていると思う。米軍の艦艇であろうと日本の艦艇であろうと、通常の業務としてやる。(日米の相互運用に)もう垣根はない」と話した。
 海洋進出を強める中国など、日本周辺を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。「緊張のある場所でも補給しに行く。展開している艦艇が基地に戻って補給し、また出て行くならば時間もかかる。(補給艦は)海自のシームレスな活動に十分寄与しているということになる」。吉福艦長は重ねて強調した。


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