「関係機関のつなぎ役に」県医療的ケア児支援センター長 岡田雅彦氏

佐世保市の課題解決に向けて「関係機関のつなぎ役になりたい」と語る岡田センター長=大村市内

 県医療的ケア児支援センター長の岡田雅彦氏(56)=小児科医=に、佐世保市の課題や支援センターの役割などを聞いた。

 -佐世保市総合医療センターが地域の訪問診療を一手に引き受けている。どう受け止めるか。
 ケア児を介護する家族の負担を減らすため、訪問診療を始めたのは画期的だと思う。しかし、医療センターはもともと基幹病院として先進的な3次医療を担っている。緊急性が高い重症患者の治療を求められると同時にケア児の増加にも対応せざるを得なくなっており、この態勢を将来にわたり継続するのは問題もあると思われる。

 -県内の他地域はどう対応しているのか。
 長崎市近郊では、熱心な1人の小児科医が高齢者を診る訪問医たちに協力を呼びかけ、子どもの診療にも対応してもらう態勢ができている。佐世保市のように基幹病院の小児科医だけで訪問診療を続けるのは困難。長崎市近郊のように、内科医を含め、地域で訪問医を増やす取り組みも考えていくべきだろう。

 -ケア児を一時的に預かるレスパイトの役割も医療センターが担っている。地域に一時預かりの施設を新たに整備できないのか。
 全国の都市圏には子どもに特化した病院やレスパイトの施設があるが、多額の費用と専門職員が必要となる。佐世保市の人口規模での整備は現実的に難しい。
 もちろん、近場でレスパイトができる環境づくりは重要。医療センターのほかの病院でも、特定のケア児を数人ずつ受け入れてもらえないかと考えている。子どもを預ける家庭が事前に決まっていれば病院との信頼関係も築きやすい。

 -県が開設した支援センターは佐世保市の課題解決に向けてどのような役割を果たせるか。
 ケア児の支援に向け、国は各市町に、医療や福祉、行政関係者らが連携を図る「協議の場」を設けるよう求めており、佐世保市でも議論は始まっている。課題解決には地元の医師会の協力も不可欠。支援センターは関係機関のつなぎ役となり、支援態勢を底上げできるよう動いていきたい。


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