22歳の誕生日にトップ浮上、ロバンペラが初戴冠に王手。勝田貴元はリタイア/WRCニュージーランド

 10月1日、WRC世界ラリー選手権第11戦『ラリー・ニュージーランド』はデイ3のSS8~13が行われ、同日に22歳の誕生日を迎えたカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合トップに浮上。シーズン残り2戦を残しての自身初戴冠に王手をかけた。一方、日本人WRCドライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合5番手まで順位を上げていたがSS12でのコースアウトにより、リタイアとなっている。

 前日に引き続き雨模様となったラリー・ニュージーランドの競技3日目は、デイ2をトップで終えたオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が僚友ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)とともに5秒加算ペナルティを受けたことで2番手に降格。首位とコンマ2秒差の総合2番手につけていたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)が新しいラリーリーダーとなった状態で開始された。

 サービスパークの北側で、ミッドデイサービスを挟みながら3つのステージを各2回走行するアイテナリーとなったデイ3は、悪天候の影響もあってかアクシデントが相次いだ。そのうちのひとつはなんと、総合トップに立っていたエバンスによるもの。彼は首位で迎えたSS9でスピンを喫し、マシンのフロントとリヤを土手に打ち付けてしまう。

 なんとかこのステージを走破しロードセクションでの応急措置の甲斐もありサービスに戻ることができたエバンスだったが、GRヤリスのロールケージに歪みが発生していたためリタイアを余儀なくされた。

 午前中最後のステージとなったSS10では、Mスポーツ・フォードWRTのガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)が左コーナーでワイドに膨らみコースオフ。横方向に2回転するクラッシュでマシンは大破した。幸いクルーは無事であったが、このステージはキャンセルとなっている。

 ドラマが続いた午前中のループを終えた時点でのトップはSS9でベストタイムを記録したロバンペラ。この段階では4.6秒後方の総合2番手にタナクがつけていたが、エストニア人はヒョンデ陣営の3名に対して追加で与えられた10秒ペナルティにより、セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)にポジションを譲ることに。以降、タナクは徐々に遅れはじめ、1日の最後にはタイトルを争うロバンペラとのタイム差が46.4秒にまで拡がってしまう。

 なお、対象者にオリバー・ソルベルグ(ヒョンデi20 Nラリー1)も含まれたヒョンデ勢に科せられたペナルティは、デイ2で行われたSS7でのハイブリッドブーストのエネルギー放出量超過が要因で、前日に報告されたSS1での違反と同様に、メカニックによるパラメーターの設定ミスが原因であるとしてチームマネージャーのパブロ・マルコスが謝罪している。

オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド
セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド

■ステージは残り4本。最年少チャンピオン誕生なるか

 ライバルの“自爆”をよそにロバンペラは今シーズン6勝目とキャリア初となるシリーズチャンピオンに向けてひた走る。彼は午後のオープニングステージとなったSS11、続くSS12でベストタイムを刻むと、最後のSS13でも2番手タイムをマークし、総合2番手につける“現王者”オジエに対して29.0秒のギャップを作ってデイ3を走破してみせた。

 仮にトップ3の順位がこのまま変わらずに競技最終日の4本のステージを終えた場合、日曜の最終パワーステージでロバンペラが4位以上のタイムを記録すると、22歳のフィンランド人がWRC史上最年少チャンピオンを確定させることになる。

 そんな表彰台圏内の争いの後方では、午前中に3速を失ったヌービルが僚友タナクから約1分遅れの総合4番手につけ、エンジンのミスファイアによってさらに1分53秒遅れたソルベルグが続く。総合6番手にはWRC2リーダーのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)がつけている。

 総合7番手はミリタリーカラーとなったフォード・プーマ・ラリー1を駆るロレンツォ・ベルテッリ。WRC2クラス2番手のカイエタン・カイエタノビッチ(シュコダ・ファビア・ラリ2エボ)がトップ8リザルトを完成させた。

 勝田はSS11を終えた時点で前日の総合8番手から5番手に順位を上げていたが、SS12で痛恨のコースオフ。エバンスと同様にロールケージにまでダメージが及んだたため、今戦から退くこととなった。

 3名が戦列を離れたデイ3の翌日、2日(日)に行われる競技最終日は、サービスパークの南東エリアで“ウィットフォード・フォレスト-テ・マラウンガ・ワイホ”と“ジャックス・リッジ・ハウヌイ”という2本のステージを日中のサービスを挟むことなく各2回走行する。このうち最終ステージとなるSS17“ジャックス・リッジ・ハウヌイ2”は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与されるパワーステージだ。SS14~17、計4本のステージの合計距離は31.18km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は140.08kmとなっている。

SS12でのコースオフによってリタイアとなった勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド
ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド
クレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド
オリバー・ソルベルグ(ヒョンデi20 Nラリー1) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド
ロレンツォ・ベルテッリ(フォード・プーマ・ラリー1) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド
ヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2) 2022年WRC第11戦ラリー・ニュージーランド

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