「共有できる仲間になれば災害でも迅速に対応できる」応援体制のカギは日頃の自治体同士の連携 台風で浸水被害の町から学ぶ【わたしの防災】

大雨による豪雨災害。住宅の浸水や断水など深刻な被害が相次ぐ中、市や町の対応力がいま、問われています。被害を受けた町は自治体同士での連携のあり方を再確認しています。

8月14日、台風による河川のはん濫で温泉街が浸水、土砂崩れで断水の被害を受けた静岡県松崎町雲見地区です。災害発生の翌日、地区に駆け付けたのは同じ伊豆半島の東伊豆町の「給水車」でした。

<東伊豆町観光産業課 加藤宏司係長>

「何年か前にも西伊豆町の災害にも出動したこともありますが、賀茂郡といわず静岡県内どこでもあれば、お互い助け合うのは当たり前」

実は松崎町には給水車がありません。断水は最も長い地区で16日間続き、前半は東伊豆町と河津町が交代で後半は富士宮市や沼津市など静岡県東部の複数の市や町から給水車の応援を受けました。

<松崎町総務課 齋藤聡課長>

「住民にとっても水がすぐに利用できるというのは、大変大きなメリットだったのではと思います」

応援は給水車だけではなく、西伊豆町からはトイレトラックが出動。泥のかき出しなどの復旧作業もほかの市や町の職員が手伝いました。普段から職員同士で顔の見える関係ができていること、町長や市長のトップ同士も話ができる間柄であることから、応援態勢が上手くいったといいます。松崎町の深澤準弥町長は、小さな町では災害対応に限界があり、近隣との連携が重要だと改めて認識しています。

<松崎町 深澤準弥町長>

「いろんなものがフルスペックで持ちきれない小さい自治体ですので、お借りできたのは本当に助かりましたし、逆にこれがこの地域のうまくそういったもの共有できる仲間になっていければ、今回みたいな災害でも迅速に対応できると実感した次第です」

静岡県でも市や町の連携を深める会議を定期的に開いています。9月22日には、下田市で大規模はん濫の被害軽減についてウェブ会議で話し合い、県と賀茂地域の1市6町のトップが参加しました。

<静岡県 下田土木事務所 戸塚博文所長>

「昨今、雨は激甚化、頻発化していますので、施設だけでは防げない部分があります。情報の共有というのは重要になりますので、県がつなぎ役となって協議会を開催しています」

災害は、町の大きさに関係なく発生します。自治体同士の連携を深め、助け合うことで、素早い復旧・復興につながります。

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