北朝鮮ミサイル通過に長崎県内は… 漁業者ら不安、政府に緊張緩和求める声も

 北朝鮮の弾道ミサイルが5年ぶりに日本上空を通過したことに、長崎県内の漁業者からは4日「恐ろしい」と不安の声が上がった。被爆者や専門家は日本政府に緊張緩和に向けた外交努力を求めた。
 県によると、日本近海で操業中の漁船を含め被害は確認されなかったが、対馬市豊玉町のイカ釣り漁師、築城哲則さん(72)は「飛んできても防ぎようがない」と不安を口にする。東北や北海道沖にはここ数年出漁していないが「島根県沖まで行く船もある。ミサイルが危ないからと、操業範囲がさらに狭まることになりかねない」と話す。
 県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(82)は北朝鮮が7回目の核実験を強行するのではないかと危惧する。「(米韓による)合同軍事演習などへの反発だと思うが日本政府や国民が大騒ぎすると、さらに過激な行動に走る恐れがある。厳しくも冷静に見なければ」
 北朝鮮の最高人民会議は9月、核兵器の使用条件を定めた法令を採択。体制維持のために核の先制使用ができることを明確にした。
 長崎大核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎副センター長は最悪のシナリオとして、緊張が高まった上での北朝鮮のミサイル誤射を警戒。日本政府が反撃能力を含めた検討に言及したことに「抑止力と外交努力がワンセット。緊張を和らげるリスク削減の方策も考えてほしい」と求めた。


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