石木ダム「理解得て推進を」 あす決議案可決へ 長崎県議会

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、県議会は7日の定例会最終本会議に、建設推進を求める決議案を上程する。反対住民との話し合いの継続や、建設用地を元所有者が買い戻す権利(買受権)への適切な対応を求める内容。賛成多数で可決される見通し。
 決議案は、水没予定地に暮らす13世帯の反対住民と面会を重ねている大石賢吾知事の姿勢を評価。その上で、▽反対住民と話し合いの機会を持ちながら、理解を得られるよう努める▽土地収用法に基づいて買受権が来年9月に生じると主張されることも想定して、適切に対応する-ことを知事に強く要望している。
 最大会派・自民の呼びかけに4人(立憲民主1、社民2、共産1)を除く41人が賛同し、5日に共同提案した。これを受け議会運営委員会が同日、本会議上程を決めた。
 石木ダムを巡っては、県議会は2011年7月に「建設推進に関する決議」を可決し、知事に提出。12年10月にも「事業認定手続きの進展を求める意見書」を可決し、政府と国会に提出している。

◎県議ら現場視察「議会も汗流す」

石木ダム付け替え県道の工事現場を訪れ、松園所長(右)の説明を受ける県議ら=川棚町

 石木ダム建設事業の推進派県議でつくる石木ダム建設推進議員協議会は5日、工事現場を視察。会長の田中愛国県議は「本県の懸案事項の新幹線がある程度片付いた。あとは石木ダム。促進に向け議会も汗を流す」と述べ、早期完成を県に求める考えを示した。
 視察は3年ぶり。会員議員36人のうち13人が参加した。県石木ダム建設事務所によると、付け替え県道は計画した全長約3.1キロのうち1.6キロを施工中。本体工事は左岸頂部掘削がほぼ完了した段階。松園義治所長がこうした進捗状( しんちょく )況を説明した。
 終了後、取材に応じた田中会長は、大石賢吾知事が就任直後から反対住民と面会を続けていることについて「知事が代わって(事業が)白紙になるという話ではない。完成時期を(当初の1979年度から)9回延期し、大変な時間を費やしてきた。予算を執行してほしい」と強調した。


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