伝統の獅子舞、民家や事業所巡回 西粟倉、神社秋季大祭で厄払い

村内を巡回して「悪魔切り」を奉納する獅子舞

 粟倉神社(岡山県西粟倉村長尾)の秋季大祭が2日行われ、村無形文化財の獅子舞が、依頼を受けた村内の民家や事業所約20カ所を巡回した。一行は家内安全や事業発展に向けて伝統の舞を奉納し、厄払いした。

 そろいの法被を着た保存会の男衆10人が、疫病退散などを祈願する演目「悪魔切り」を披露して回った。獅子は、てんぐ面を着けた鼻高(はなたか)から刀を授かり、太鼓、笛のはやしに合わせて、大空に弧を描くように刀を動かしたり、振り返りながら力強く刀を振りかざしたりして演じ切った。

 子どものいる家庭では、幼児は獅子に頭をかんでもらって健やかな成長を願った。

 新型コロナウイルスの影響で昨秋、2年ぶりに巡回。氏子を前にした神社広場での披露は今年も見送った。

 村史によると、粟倉神社の獅子舞は江戸中期の宝暦年間、神職が争いの訴訟で江戸に出向いた際、同行者が江戸神楽を習得して氏子に伝承したとされている。

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