通算700本塁打達成のプホルス 大不振の6月に引退を検討していた

史上4人目の通算700本塁打を達成するなど、2022年レギュラーシーズンの終盤戦を大いに沸かせたアルバート・プホルス(カージナルス)だが、快挙達成の瞬間は訪れない可能性があったようだ。プホルスはメジャーリーグ公式サイトによる取材のなかで「シーズンを全うせずに引退する可能性があった」ことを告白。開幕前には「22年目のシーズンをプレーすべきか何度も自問自答した」というプホルスだが、周囲のサポートもあり、シーズン途中でユニフォームを脱ぐことはなかった。

6月のプホルスは13試合に出場してわずか6安打、打率.158、0本塁打、2打点、OPS.425と悲惨な成績だった。思うようなスイングができず、周囲のサポートがなければシーズン途中での現役引退を決断していた可能性があったという。しかし、プホルスは「頑張ろうって決めたんだ。大不振が1年中続くわけではなく、遅かれ早かれ良い方向に向かうだろうとわかっていたからね」と引退を踏みとどまった。詳細は明らかにされていないものの、シーズン中に決定的な転機があり、プホルスはそこから一気に復調。8月に8本塁打、9月に7本塁打を量産し、最終的には通算703本塁打まで数字を伸ばした。

通算700本塁打のマイルストーンについて無関心を装ってきたプホルスだが、「多くの人々のために達成したいと思っていたから、本当に辛かったんだ」と本音を口にした。「私のことを愛してくれて、私のキャリアをいつも支えてくれる人たちがいる。その人たちのために達成したかった。プレッシャーという言葉は使いたくないけれど、本当に達成したいと思っていた」とプホルス。そうした思いを持っていたからこそ、思うようなスイングができなかった6月はより一層辛かったのかもしれない。

通算700本塁打を達成して喜びを爆発させたプホルスだが、もう1つ目標がある。それはもちろん、カージナルスが11年ぶりのワールドシリーズ制覇を成し遂げることだ。メジャー有数の常勝軍団として知られるカージナルスだが、プホルスがエンゼルスへ移籍した2012年以降は1度も頂点に辿り着いていない。「最後の年だからベストを尽くしたい。そして、そのベストというのは優勝を勝ち取ることだ」とプホルス。大不振を乗り越えて劇的な復活を遂げた42歳のスラッガーはチームを11年ぶりの頂点へと導くことができるのか。球史に残る名打者が有終の美を飾ることができるか注目だ。

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