平安装束まとい優雅に歌遊び…福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡で「曲水の宴」

平安装束をまとった6人が歌を詠んだ「越前朝倉曲水の宴」=10月8日、福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡

 平安装束をまとい古来の歌遊びを再現する「第11回越前朝倉曲水の宴」(福井新聞社協賛)が10月8日、福井県福井市の一乗谷朝倉氏遺跡で開かれた。雅楽が響く優美な空間で、男女6人が「健やか」をお題に歌を詠んだ。

 曲水の宴は、小川の上流から流れる杯が自分の前を通り過ぎる前に歌を詠む遊び。平安時代に貴族らの間で流行したとされ、一乗谷の城下町でも永禄5(1562)年に朝倉義景が催した記録が残っている。

 新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催。例年は5月だが、今回は10月1日の県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館のオープンに合わせて開かれた。

 大勢の見物客や写真愛好家が見守る中、烏帽子(えぼし)、狩衣(かりぎぬ)姿の男性と小袿(こうちぎ)姿の女性の「宴者」6人がゆっくりとした足取りで登場。神事などが営まれた後、思い思いに歌をしたためた。

 福井市の宮本香織さん(34)の作品は「健やかに 育ちて未来 夢ありて 素敵な社会 築けよわが子」。「1歳になった子どもへの思いを込めた。由緒ある場所でうたえてタイムスリップした気分」と笑顔を見せた。同じく宴者の同市の泉鏡子さん(67)は「福井の歴史の素晴らしさを再認識できた。一生の思い出になる」と話した。

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