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長崎市原子爆弾被災資料審議会は11日、坂本2丁目の「山王神社クスノキ群」と筑後町の「本蓮寺の鉄輪樹」の2件を、市が保存・活用基準を定める「被爆樹木」に新たに加えることを承認した。19本からなるクスノキ群は、公費で診察や治療をするBランクとなる見込み。委員の為永一夫・県樹木医会会長は「鎮守の森を『被爆群』として捉えるのは初めて。原爆の実相を伝える新たな価値になる」と評価した。
爆心地から800メートルの同神社では既に、境内入り口の「大クス」2本が、原爆の熱線や爆風の影響をより顕著に示すAランク指定を受けている。舩本勝之助宮司(80)は「今までも(参拝者に)クスノキを見て、いかに原爆が恐ろしいか考えてほしいと伝えてきた。被爆樹木群になれば、さらに伝える方法が広がる」と喜んだ。
市は2018年度、樹木医に委託して境内の樹木約200本を一斉調査。このうち、神殿を囲むクスノキ19本について▽爆心地側と反対側の幹で成長の度合いが異なる樹形異常がある▽被爆前後の写真や証言があるが、熱線や爆風の痕跡は見られないとして、上から2番目のBランクと判断。審議会もこれに賛同した。
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一方、爆心地から2.4キロの鉄輪樹(和名・オオカナメモチ)は原爆で大半が焼けた後に芽が出たため、本蓮寺で「被爆蘇生の樹」と呼ばれているが、市は被爆の痕跡などが希薄だと判断。市が説明板を設置するCランクにとどめた。これに対し審議会からは、焼けた根株から幹が何本にも分かれて生えていることが「被爆の特徴」だとして、Bランクにするよう求める意見も出た。
市によると今回の2件を除く被爆樹木は32件48本。市は審議会の報告を受け、ランク付けなどを正式に決める。