<始動 長崎県議選> 長崎市区(定数14) 20人超の激戦、現職に危機感

 来春の統一地方選まで約半年。県議選は全16選挙区(定数46)に、今のところ57人が立候補を予定しており、ほかにも出馬を模索する動きがある。激戦が予想される選挙区がある一方、無投票になりそうな選挙区も多い。各地の構図を探った。
 「混戦は間違いない」「厳しい」「死に物狂いでやらないと」-。7日閉会した定例県議会の会期中、長崎市区選出の現職は口々に危機感をにじませた。周辺7町との合併で現在の選挙区となった2007年以降最多の立候補者数が予想されるからだ。
 定数14に対し、過去4回は17人前後が立候補した。今回は3日現在で現職14、元職1、新人6の計21人が予定。名乗りを上げている18人のほか、日本維新の会が新人3人を擁立する構えだ。先の参院選で政党要件を満たした参政党も準備を進めている。無所属新人1人も検討。「政治家のなり手不足と言われる中、たくさんの立候補は喜ばしいが…」。自民現職の1人はこう漏らす。
 その自民は現職6人に加え、市議3期目の中村俊介が公認申請中。さらに、防衛庁長官を務めた故虎島和夫元衆院議員のおいで、外科医の虎島泰洋も立候補を予定。先の参院選長崎選挙区で自民公認候補選考に手を挙げており、県議選でも申請する可能性がある。
 自民は前回、公認した7人のうち6人が当選し、6期のベテランが涙をのんだ。浅田眞澄美が同市区全体で3番手の約1万2千票を得た一方、強固な地盤を持たず下位当選となる候補が少なくなかった。公認候補が増えれば保守票を食い合いかねない。前回落選したベテランの地盤だった滑石・横尾地区や、立候補予定者がほとんどいない旧町部の票の争奪戦も激化しそうだ。
 他党の多くは、現有議席確保を目指すにとどまりそうだ。前回トップの約1万5千票を獲得した三菱重工労組出身で国民民主の中村泰輔と、前々回の落選時から倍増の約1万2千票に伸ばした立憲民主の赤木幸仁は、ともに2期目に挑戦。九州電力労組出身で国民の深堀浩は、自民新人の中村俊と浦上地区で競合するだけに警戒を強める。公明は2議席、共産と社民は各1議席の維持を狙う。
 対照的に維新の鼻息は荒い。先の参院選では選挙初挑戦の女性候補が長崎市で約1万9千票を集めた。今回の県議選には、その女性と、若手の産婦人科医、行政書士が準備を進めている。
 市南部は無所属2人。現職の中山功は過去4回、安定して1万1千~1万2千票を獲得している。前回の統一地方選で市長選に出て敗れた元職の高比良元は県議復帰を期す。
 NBC長崎放送の元アナウンサー大倉聡は、今月末で同社を退職し初挑戦。知名度を武器に「どぶ板で無党派層へ訴える」と話す。=文中敬称略=

◎立候補予定者

浅田眞澄美 56 自現(4)
江 真奈美 55 自現(3)
前田 哲也 58 自現(3)
浦川 基継 50 自現(1)
久保田将誠 50 自現(1)
下条 博文 47 自現(1)
中村 俊介 46 自新 
赤木 幸仁 37 立現(1)
川崎 祥司 60 公現(3)
麻生  隆 67 公現(2)
堀江ひとみ 63 共現(4)
深堀  浩 57 国現(3)
中村 泰輔 42 国現(1)
坂本  浩 63 社現(2)
中山  功 74 無現(6)
高比良 元 70 無元(3)
大倉  聡 45 無新 
虎島 泰洋 48 無新 

 【県議選立候補予定者名簿の見方】並べ方は衆院勢力順(同数の場合は参院の党派勢力順)、現元新、当選回数(丸数字)、五十音-の順。政党の略称は自=自民党、立=立憲民主党、維=日本維新の会、公=公明党、共=共産党、国=国民民主党、社=社民党、無=無所属。所属は公認申請中を含む。


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