<始動 長崎県議選> 佐世保市・北松浦郡区(定数9) “宮島票”奪い合いへ

 佐世保市・北松浦郡区選出県議の宮島大典が来春の市長選に出馬する意向-。9日付本紙の報道を受け、ある県議は確信した。「次は“宮島票”の奪い合いになる」と。
 前回、宮島は元衆院議員の高い知名度を生かし、2万3068票を集めてトップ当選した。北松を含まない旧市区時代からの最多得票は、1995年県議選で現市長の朝長則男が獲得した2万662票だった。この記録が24年ぶりに塗り替えられた。
 宮島は自民を皮切りに民主などを渡り歩いた。前回の県議選は国民民主に在籍しつつ、幅広い層を取り込むため無所属で出馬。自民6候補からも満遍なく票を奪い、このうち12期の重鎮が落選の憂き目に遭った。
 その自民は今回、現職5人全員が立候補する意向を示す。
 議長経験を持つベテラン勢では、市南部を地盤とする7期目の田中愛国や、市北部の相浦地区で漁業関係者の支持を受ける溝口芙美雄が意欲を見せる。
 保守分裂となった2月の知事選で大石賢吾の初当選を支えた外間雅広は市中心部が拠点。県商工会連合会会長を務める吉村洋は旧北松を軸に活動する。地元の有力建設会社を基盤とする若手の山下博史は北松佐々町にも足場がある。
 自民はこれまで地域ごとに一定のすみ分けができていたが、前回は「他人の縄張りに無断で入る者がいた」と憤る陣営も。選挙戦が激しさを増せば、党内での争いが再び過熱する可能性がある。
 このほかの現職は、労組や所属団体などの組織票をベースに組み立てる。
 山田朋子は立憲民主県連代表の立場で挑み、全駐労などが支える。社民は県教組出身で、平和運動に力を入れる堤典子が再選を目指す。前回、得票数が2番目に多かった公明の宮本法広は、創価学会票を中心にさらなる支持拡大を狙う。
 一方、新人は3人が出馬の準備を進めている。
 国民からは佐世保重工労組出身で、連合長崎佐世保地協事務局長の古川洋介が初挑戦する。共産は立候補予定者を内定しており、来月公表する方針。初参戦となる日本維新の会は、20代後半女性を擁立する方向で最終調整を急ぐ。
 前々回までの当選ラインは8500~1万票程度で推移していた。だが前回は宮島の「独り勝ち」で一気に7千票程度まで下がった。宮島は保守やリベラル、地域や組織を問わず多方面から支持を得ていただけに、ある陣営関係者は「多くの票がフリーになる中、どの候補も知名度に大きな差はない。いかに浮動票をつかむかが勝負の鍵を握る」と先を読む。
=文中敬称略=

◎立候補予定者

田中 愛国 78 自現(7)
溝口芙美雄 75 自現(5)
外間 雅広 64 自現(4)
吉村  洋 65 自現(3)
山下 博史 47 自現(1)
山田 朋子 50 立現(4)
宮本 法広 49 公現(2)
堤  典子 64 社現(1)
古川 洋介 39 国新 

 【県議選立候補予定者名簿の見方】並べ方は衆院勢力順(同数の場合は参院の党派勢力順)、現元新、当選回数(丸数字)、五十音-の順。政党の略称は自=自民党、立=立憲民主党、維=日本維新の会、公=公明党、共=共産党、国=国民民主党、社=社民党、無=無所属。所属は公認申請中を含む。


© 株式会社長崎新聞社