西海市の森林再生へプロジェクト始動 チューリッヒ保険が長崎県、市と協力協定

チューリッヒの森に関する協定を締結した(左から)杉澤市長、大石知事、西浦CEO=県庁

 外資系損害保険大手チューリッヒ保険(東京)は13日、長崎県西海市大瀬戸町雪浦地区で森林整備保護活動「チューリッヒの森」プロジェクトを始動させた。2027年3月末までの5年間で、東京ドーム約7個分の計約34ヘクタールを整備する予定。県市との協力協定を同日締結した。
 チューリッヒグループは20年、ブラジルで森林再生プロジェクトを始めた。15年に開設した長崎市のオフィスを拠点に国内でも実施することにした。整備先として、西彼杵半島最大の流域面積を持つ雪浦川の一帯を選定した。
 同社によると、源流から河口までに森林が荒廃した場所が5カ所あり、そこを重点的に整備する。豊かな森林を将来にわたって守るため、林道を整備したり、間伐材を撤去したりする。二酸化炭素(CO2)の吸収を促進し、地球温暖化対策に貢献するだけでなく、防災や水源涵養(かんよう)などの機能を強化、地域活性化にもつなげる。

「チューリッヒの森」施業位置図

 12月10日に現地で森林整備を実施予定。社員や家族からボランティアを募り、植林などをする。
 同社の西浦正親最高経営責任者(CEO)は「よりたくさんCO2を吸収できる森にしたい。地域の皆さんが自然と触れ合い、楽しんでもらえる存在を目指す。長崎を一つの成功事例として次の森に進めていきたい」とビジョンを描く。
 県庁であった協定締結式で、杉澤泰彦市長は「選定していただき感謝している。市民にこれまで以上に森に近づいてほしい」、大石賢吾知事は「県としても協力したい」とそれぞれ話した。


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