日本人初機関士・日下の資料発見 鉄道の日に出身地・津山で公開

津山市立図書館で公開が始まった日下の資料

 日本人初の鉄道機関士の1人とされながら詳細な人物像が不明だった津山市出身の日下輝道(くさか・てるみち)(1854~1924年)の履歴書や辞令書といった資料が見つかった。名古屋機関庫主任などを務めたことが分かり、鉄道開業から150年の節目ともなった「鉄道の日」の14日、市が子孫から資料を借り受け市立図書館(同市新魚町)で展示を始めた。

 資料は1907年に作成された履歴書や鉄道局が発令した1887年の辞令書、肖像写真など28点。履歴書からは当初、関西方面の路線を担当し長浜、大阪、米原、日露戦争中は旧満州(中国東北部)などを転々としたことが読み取れる。帰国後は鉄道庁技師や新橋機関庫主任を務めた。

 市などによると、日下は英国から派遣されたジョン・アンダーソンの指導を受けて79年に国内初の機関士になった6人の1人。これまでは「鉄道先人録」(日本交通協会鉄道先人録編集部編、1972年)や官報で名前が知られる程度で、人物像や来歴をたどれる資料は見つかっていなかったという。

 「新修津山市史 近現代編」の執筆者で鉄道遺産に詳しい小西伸彦・就実大総合歴史学科特任教授が今年9月、奈良県生駒市の日下の子孫方で見つけた。小西教授は「高い技術が評価され、指導者的な立場で各地を異動したのではないか」と推測。「分析を進めることで日下の生涯にとどまらず当時の国内の鉄道事情も分かるだろう」と話している。

 資料の展示は11月1日まで。

日下輝道=個人蔵
新たに見つかった日下の履歴書の一部=個人蔵

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