町家華やか「倉敷屏風祭」始まる 家伝の逸品や新作 美観地区彩る

語らい座大原本邸で「雲龍図」を鑑賞する観光客ら

 倉敷市美観地区一帯で15日、町家を屏風(びょうぶ)で彩る「倉敷屏風祭」が始まった。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催。商家や古民家が家伝の逸品を玄関先などに飾り付け、観光客らがまち歩きを楽しみながら鑑賞している。16日まで。

 伝統的な町並みが残る同市本町と東町を中心に、約600メートルの区間にある商店や旅館、町家など約20軒が参加。通りに面した格子戸を開放し、屏風や着物、生け花を並べてまちを彩っている。

 国重要文化財・旧大原家住宅(語らい座大原本邸、同市中央)は、江戸後期の絵師・岡本秋暉が雲を従えた竜を力強く描いた「雲龍図」を公開。はしまや呉服店(同市東町)では、倉敷芸術科学大の森山知己教授(日本画)の新作で、緑深い山水図や銀箔(ぱく)の波しぶきを表現した「倣日山水図」が披露された。

 倉敷物語館(同市阿知)は、江戸時代の京都の町並みを描いた国重文「洛中洛外図屏風池田本」を高精度デジタル技術で複製した作品を展示。主婦(60)=同市=は「間近で迫力ある屏風を鑑賞できる祭りが復活してうれしい」と笑顔だった。

 阿智神社(同市本町)の秋季例大祭に合わせた行事。明治期に途絶えたが、2002年に住民有志が復活させ、17年には日本遺産の構成文化財になった。公開は午前10時~午後5時。

倉敷芸術科学大の森山教授の新作を飾ったはしまや呉服店
高精細デジタル技術で複製した「洛中洛外図屏風池田本」を鑑賞する観光客ら

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