「非開門で解決」強調 野村農相が諫早湾干拓事業農地を初視察

いすに腰かけ、入植者から営農状況を聞く野村農相(手前左から3人目)=諫早市、中央干拓地

 野村哲郎農相は15日、国営諫早湾干拓事業の農地を初めて訪れ、営農状況を視察した。潮受け堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を訴える漁業者らが国に開門を求めた訴訟が続くが、野村農相は2017年に当時の農相が出した大臣談話を引き合いに、「開門せず、(有明海再生の)基金による和解を目指す。一貫してこの考えに変わりない」と断言。非開門で決着を図るとする国の方針を重ねて示した。
 野村農相は中央干拓地を視察後、諫早市内で大石賢吾知事や営農者ら非開門を支持する本県関係者らと意見交換。午後からは佐賀県に入り、開門請求訴訟の原告・弁護団と面会するなどした。両県訪問は歴代農相の就任後の恒例。
 1997年4月に潮受け堤防が閉め切られた同事業では訴訟が乱立。このうち、国に開門を命じた2010年の確定判決を巡り、開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟の差し戻し審で、福岡高裁は今年3月、関連訴訟で唯一の開門確定判決を「無効化」させる判断を下した。漁業者側は上告している。


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