次の秋へ

 とてもバカバカしい打ち明け話-と前置きして書く。突然の監督交代に長崎のサポーターが揺れていた頃、手腕も人柄も未知数だったのに、何だかいいことが待っていそうだ、と新監督の名前だけ見てこっそりと考えた。カリーレ、かりーれ、刈り入れ。そう、収穫の予感が▲そんな予感は予感のまま、サッカーJ2、V・ファーレン長崎の2022年が終わろうとしている。1試合を残して15勝16敗、引き分けが10。自動昇格圏の2位以内にも、昇格を争うプレーオフの出場圏にも遠く及ばなかった▲とりわけ今年は地元で白星が遠かった。ホーム戦は21試合でわずか4勝。今日こそ、今度こそ、と熱心にスタジアムに足を運び、ため息交じりで家路に…そんなファンも多かったに違いない。熱い応援ぶりに頭が下がる▲監督交代後のリーグ戦の成績は5勝8敗5分け。狙い通りに実を結んだとは言い難い。「いろんな意味でかみ合わなかった」と運動部の担当記者が教えてくれた。詳しい分析を待ちたい▲ただ、サッカーは監督が一人で戦うわけではない。そもそも目算通り、予想通りに事が運ばないのがスポーツの楽しさ▲最終戦は敵地で下位の大宮戦。まずはすっきり勝って「有終の美」といきたい。そして首を長く長くして1年先の“実りの秋”を待とう。(智)

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