「平和首長会議」広島で開幕 核使用への危機感表明 加盟都市、連携を確認

ロシアのウクライナ侵攻を巡り、核使用への危機感を共有した平和首長会議の総会=広島市中区、広島国際会議場

 核兵器廃絶を目指し、世界の8千超の都市でつくる「平和首長会議」の第10回総会が19日、5年ぶりに広島市で開幕した。参加した加盟都市の代表者らは、ウクライナに侵攻したロシアによる核使用への危機感を相次いで表明。都市や市民社会の連携を深める必要性を確認した。
 会長の松井一実広島市長は開会あいさつで、ウクライナ情勢の緊迫化や、8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の交渉決裂を挙げ「核廃絶に向けた被爆者の願いを断ち切るもので、危機的状況を招く」と危惧。国連のグテレス事務総長はビデオ声明で「世界はヒロシマ、ナガサキの痛ましい教訓を忘れる危機にひんしている」と訴えた。
 総会は新型コロナウイルス禍で延期が続いていた。今回、9カ国93都市から160人が出席。少なくとも14カ国20都市がオンライン参加した。役員選任で1987年から副会長を務めるロシア・ボルゴグラード市長は留任を希望せず、役員を外れた。会長の広島市長、副会長の長崎市長はいずれも留任。
 全体会議で、スペイン・グラノラーズ市のアルバ・バルヌセル市長は「核の脅威はエスカレートし、市民生活を危険にさらしている。核兵器廃絶への関与を地方自治体レベルで進め、ネットワークを強化したい」とスピーチ。カナダ・モントリオール市はウクライナ避難民の受け入れについて報告した。ドイツ・ハノーバー市は自国政府に、核兵器禁止条約加盟を強く求めていく考えを表明した。
 平和を担う若い世代との連携を深めるため、首長会議の理念に共感する個人や団体を増やす「サポーター制度」の創設も決定。来年度から、インスタグラムなどのSNSで、首長会議や各都市の取り組みを発信する。次回の第11回総会を2025年に長崎市で開くことも報告された。
 20日は松井市長や田上富久長崎市長らによるパネルディスカッションなどがある。首長会議の設立40周年を記念し、核廃絶に向けた「ヒロシマアピール」を採択して閉会する予定。


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