長崎市の中期財政見通し 5カ年とも赤字見込み 2023~27年度

 長崎市は20日、2023年度から27年度までの中期財政見通しを発表した。来年4月の宿泊税導入などで市税の伸びが期待される一方、大型事業の実施で公債費が増え、収支は5カ年いずれも赤字を見込む。財政運営のための基金を取り崩して対応し、22年度末に202億円としている基金残高は27年度末に140億円にまで減る見通し。
 市財政課によると、市税は、人口減少の影響があるものの、宿泊税導入や長崎駅周辺土地区画整理事業の進展による税収増から、23年度は548億円となり、22年度に比べ9億円の増収を見込む。宿泊税は23年度が約3億8千万円、25年度以降は5億円程度とみる。
 一方、歳出では、市ごみ処理焼却施設「東工場」建て替え(21~27年度、建設費221億円)など投資的経費が高い水準で推移する見込み。これに伴い、公債費のピークを24年度の272億円とみている。ただ市債残高は新市庁舎建設などの大型事業が一段落し、22年度の2756億円をピークに減少するとしている。
 各年度の赤字額は▽23年度16億円▽24年度20億円▽25年度15億円▽26年度11億円▽27年度2億円。不足分に基金を充てるが、収支改善の取り組みを推進することで、改善前に比べ赤字幅を5カ年合計で45億円圧縮。市が安定運営に必要な最低限の蓄えの目安とする「100億円以上」を上回る140億円の基金残高を維持できるとしている。
 同課は「引き続き自主財源の確保や事業の見直しを進め、安定した財政運営に努める」としている。


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