燃料費高騰で電気代予算「足りない…」 南島原市の公共施設、補正で対応

一部照明を消灯した南島原市役所本庁舎

 燃料費高騰に伴う電力の調達コストが上昇し、長崎県南島原市では庁舎など公共施設の電気使用料が前年度当初予算比7.8%増える見込みとなり、本年度当初予算でまかなえなくなる異例の事態に陥った。市は急きょ、不足分の電気使用料3600万円を含む本年度一般会計補正予算案を開会中の定例市議会に提出するなど対応に追われている。
 市財政課は「過去にも一部施設について不足が生じて予算の補正などで対応したが、今回のような電気市場の高騰と発電コスト高騰の長期化は経験したことがなく、今後の動向を注視している」と困惑している。
 昨秋以降、火力発電の原材料である石炭や液化天然ガス(LNG)など化石燃料の輸入価格の高騰傾向に加えて、年明け以降、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、仕入価格が高止まりしている。
 市は2018年に旧親和銀行(現十八親和銀行)やIT関連企業などと地域電力商社「ミナサポ」(代表・山口周一副市長)を設立。現在、市内約500施設のうち、学校や市庁舎など86施設へ電力供給を行い、年間2千万~2500万円の節減効果があるという。
 しかし、電力調達コストの上昇に加え、新型コロナウイルス感染症拡大から2年以上が経過し、社会・経済活動が活発化。公共施設の利用頻度も上がった。
 本年度の当初予算では、前年度上半期の電気使用料や施設の利用状況を踏まえ、電気使用料を3億1千万円と見込んでいた。しかし、今年4月、ミナサポから電気使用料改定の協議があり、市内全施設の電気使用量を見直したところ、予算不足の可能性が確認され、不足分を補正予算で対応することにした。補正後の電気使用料は総額3億4100万円になる。
 市は庁舎内の電灯の一部を消すなどの節電対策を実施。全国各地で採算が合わず新電力が撤退しているが、市は「ミナサポに関しては電力の調達方法の一部を見直し、市場の影響を最小限に抑えており、昨年の決算の状況や最新の財務状況から撤退する可能性は低い」としている。


© 株式会社長崎新聞社