岡山バット事件 全記録廃棄 家裁、「特別保存」対象外か

岡山家裁

 岡山県の旧邑久郡(現・瀬戸内市)で2000年6月、当時17歳だった県立高3年の少年が金属バットで母親を殴って殺害した事件で、岡山家裁が事件記録を全て廃棄していたことが21日、家裁への取材で分かった。廃棄の時期や理由、記録の詳細について「不明」としており、調査はしない方針。

 最高裁の内規は、少年事件の記録は少年が26歳に達するまで保存すると定める。例外として資料的な価値が高かったり法令解釈の参考になったりする記録は事実上の永久保存に当たる「特別保存」としている。岡山の事件は対象にならなかったとみられる。

 家裁は記録の所在について「現時点で保存されていない」と回答。廃棄について「当時のことが分かる帳簿類が一切残っておらず、対応が適切だったかは答えられない」とコメントした。

 重大少年事件を巡っては、神戸市で1997年、小学生5人が襲われて2人が犠牲となり、当時14歳の少年が逮捕された連続児童殺傷事件や、長崎県佐世保市で2004年に小6女児が同級生に殺害された事件などで記録廃棄が明らかになっている。

 金属バット殴打事件 2000年6月、県立高校野球部3年の少年が後輩部員4人に金属バットで重軽傷を負わせ、自宅で母親=当時(42)=をバットで殺害した後、自転車で逃走。7月に秋田県で逮捕された。岡山家裁は8月、特別少年院送致を決定。事件の背景を「情緒未発達な少年の感情が一気に爆発した」と認定し、後輩からのからかいなどが引き金になったとした。

© 株式会社山陽新聞社