ティラノサウルス科「歯の化石」発見! 長崎で3例目、恐竜博物館で展示

三ツ瀬層で新たに見つかった歯の化石(右)と、2014年に発見された2点(長崎市恐竜博物館・福井県立恐竜博物館提供)

 長崎市恐竜博物館と福井県立恐竜博物館は21日、長崎半島西海岸にある約8000万年前(白亜紀後期)の地層「三ツ瀬層」から、ティラノサウルス科の歯の化石1点が見つかったと発表した。同地層での発見は3例目。全長10メートル級の大型種のものとみられ、国内では同市と熊本県天草市でしか産出例がないという。
 2019年4月の両博物館の共同調査で発掘し、クリーニングと鑑定を経て公表した。三ツ瀬層では14年5月、国内で初めて大型種の歯の化石2点が発見された。それ以外にも、これまでに肉食恐竜や草食恐竜など複数の化石が見つかっている。
 発表によると、今回の化石は形状や摩耗から右下顎の歯と見られる。先端から根元までの長さ8.5センチ、根元の幅3.3センチ、厚さ1.8センチ。全体的に保存状態は良好という。14年に見つかった2点と比べるとやや薄く小さいが、横断面は同様に膨らみがある楕円(だえん)形で、大きさや産出年代から大型種と判断された。

レプリカを用い、新たに見つかった化石が右下顎の歯だと説明する小平学芸員=長崎市野母町、市恐竜博物館

 記者会見した市恐竜博物館の小平将大学芸員は「ティラノサウルス科の大型種がいたことを示す追加標本となる」と強調。産出年代が約8千万年前と分かる三ツ瀬層から産出する化石はアジアでも貴重と述べた。中谷大輔学芸員は「恐竜研究において、世界中から長崎市に情報や研究者が集まる効果もあるのでは」と期待を込めた。
 ティラノサウルス科は、白亜紀後期の後半(約8300万年前~約6600万年前)に北米とアジアに生息したとされ、大型種は生態系の頂点に位置した。国内では、原始的な種類を含む「ティラノサウルス上科」の化石が1道7県の9カ所で見つかっている。
 29日から市恐竜博物館で化石の実物を、福井県立恐竜博物館では複製をそれぞれ常設展示する。


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