モダン、哀感…女性像の“競演” 倉敷で東郷青児・斎藤真一展開幕

東郷青児のモダンな女性像などが並ぶ会場

 女性を描いた作品で独自の美の世界を追求した東郷青児(1897~1978年)と斎藤真一(1922~94年)の洋画家2人にスポットを当てた特別展「東郷青児・斎藤真一―それぞれの女性像―」(倉敷市、市教委、市立美術館、山陽新聞社主催)が22日、同市中央の市立美術館で開幕した。甘美な美人画や情感あふれる群像など異なる個性の“競演”が美術ファンを魅了している。12月18日まで。

 東郷は1910年代に前衛画家としてデビューし、国内有数の公募展・二科展などで活躍。女性を柔らかな曲線で表現したモダンな作風で人気を博した。斎藤は倉敷市出身。目の不自由な旅芸人「瞽女(ごぜ)」を題材に多くの作品を残した。

 会場には、SOMPO美術館(東京)収蔵の東郷作品に市立美術館の斎藤作品を加えた計119点の油彩画と素描を展示した。東郷の代表作「望郷」は、含みをもたせた女性の表情が印象的。このほか、ヨーロッパや南米を巡って制作した迫力ある優品も楽しめる。斎藤の描いた瞽女は、哀感漂う表情や色調が目を引く。絵画とともに、斎藤が旅して取材した内容を記した「越後瞽女日記」も公開しており、創作の内面に迫ることができる。

 会社員女性(22)=東京都=は「2人の絵を一度に見られるのはぜいたく。東郷作品のしなやかさにひかれた」と話していた。

 展覧会は、倉敷市と損保ジャパン(東京)が昨年、地方創生に関する連携協定を結んだのを記念し企画した。午前9時~午後5時15分。月曜休館。一般800円、65歳以上と高校、大学生600円、小中学生200円。

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